砥石を使った包丁の研ぎ方
What's inside
角度を一定に保つのがいちばん大事
刃を砥石に対して約15度に当てます。目安は、峰(刃の背)の下に10円玉を2〜3枚重ねて挟んだくらいの高さです。仕上がりを左右するのは力の強さではなく、往復のあいだ角度がぶれないことです。手首を固定し、肘から先ごと前後に動かしましょう。左手の指2〜3本は、研いでいる区画の刃の平らな面に置いて軽く押さえます。指先は刃先から1cm以上離しておいてください。初めての人は、刃先から幅2〜3mmの斜面(刃の光っている帯)に油性マーカーを塗り、5〜10往復研いでみてください。帯全体のインクが均一に消えていれば、角度はちょうどいいです。峰側だけ消えるなら角度が寝ていて、刃先ぎりぎりだけ消えるなら立てすぎです。
回数ではなく「カエリ」で進み具合を判断する
研いでいる面の反対側を指の腹でなで、ごくわずかなザラつき(カエリ)を感じられたら、その部分は研げています。刃を「先端・中央・根元」の3区画に分け、区画ごとにカエリが出るまで研いでから次の区画へ移ります。カエリは、指を刃と直角方向に、峰から刃先へ向けてなでて確かめてください。刃に沿って指を滑らせると切ります。表面(右利きなら、刃を自分に向けて置いたときの上側)でカエリを出し、裏面で軽く研いで取る、という順番にします。先に刃先を作ってから整えるほうが、少ない往復で済むからです。
砥石と包丁の組み合わせを選ぶ
- 基本は中砥石 #1000の1本だけ:家庭の三徳包丁・牛刀(両刃・ステンレス)なら、これで十分切れるようになります。価格は2,000〜4,000円程度です。
- 刃こぼれがある・何年も研いでいない:荒砥石 #220〜400で欠けを消してから #1000 に進みます。この場合、作業時間は倍ほどになります。
- 刺身や飾り切り用にもっと鋭くしたい:#1000 の後に、仕上げ砥石 #3000〜6000を各面10〜20往復だけ追加します。
- 水に浸ける時間がない:表面を濡らすだけで使える「吸水不要(スプラッシュ)タイプ」を選びましょう。
- 出刃など片刃の包丁:表を刃の角度どおりに研ぎ、裏は砥石にぴったり寝かせて数往復でカエリを取るだけにします。
- セラミック包丁:普通の砥石では研げません。ダイヤモンド砥石を使うか、メーカーの研ぎ直しサービスに出してください。
時間をかけるところ、省くところ
時間をかけるのは表面の研ぎで、全体の6割はここに使います。裏面は区画ごとに5〜10往復で十分です。やりすぎると今度は表側にカエリが出て、行ったり来たりになります。研ぎ汁(黒っぽい泥)は流さないでください。研磨剤の役割をするので、乾いてきたら水を手で少しかけるだけにします。砥石は中央ばかり使わず、手前から奥、左右の端まで全面を使ってください。へこみにくくなり、面直しの手間も減ります。包丁が2本以上ある日は、浸水と面直しを1回にまとめ、1本あたり約25分を足して見積もりましょう。経験者は本番の料理の前日までに研ぎを済ませ、うまくいかなかったときに研ぎ直す余裕を残しています。家庭なら、#1000で1〜2か月に1回が目安です。研ぎ終わったらコピー用紙を引き切りしてみて、引っかからずにスッと切れれば成功です。
- 1つの区画を50往復以上研いでもカエリが感じられないとき→いったん手を止めて刃先の斜面に油性マーカーを塗り、5往復してインクがどこから消えるかを見て角度を直してください。
- 研いでいる途中で刃こぼれ(光に当てると白く光る小さな欠け)に気づいたとき→#1000で無理に消そうとせず、荒砥石 #220〜400に替えて欠けが見えなくなるまで研いでから #1000 に戻ってください。
- 砥石の表面が乾いて刃が引っかかるようになったとき→研ぎ汁は洗い流さず、手ですくった水を少しかけて表面が湿った状態に戻してください。
- • コピー用紙または新聞紙 — 1 枚
- • 中砥石 #1000 — 1 個
- • 砥石台または濡れ布巾 — 1 個
- • 面直し砥石 — 1 個
- • 洗い桶またはバット — 1 個
- • 油性マーカー — 1 本
- • 鉛筆 — 1 本
- • 乾いた布巾 — 1 枚
- 01砥石を水に浸ける砥石を洗い桶に沈めて、細かい気泡が出なくなるまで約10分待ちます。その間に刃を光にかざし、刃こぼれ(白く光る小さな欠け)がないか確認します(吸水不要タイプは表面を濡らすだけにし、浸けたままにしないでください)。⏱ 10 min
- 02表面を研いでカエリを出す濡れ布巾の上で砥石が動かないことを確かめます。刃先を手前に向けて10円玉2〜3枚分の角度で当て、押すときに力を入れ、引くときは抜きながら、先端・中央・根元の区画ごとに裏側にカエリが出るまで研ぎます。⏱ 18 min
- 03裏面を研いでカエリを取る包丁を裏返し、刃先が向こう向きになった状態で、同じ角度のまま引くときに力を入れて区画ごとに5〜10往復ずつ軽く研ぎます。最後に表裏を1往復ずつ交互に3〜4回なで、指でザラつきがほぼ消えていれば完了です。⏱ 8 min
- 04試し切りで仕上がりを確認する包丁を台所用洗剤で洗って水気を拭き取ってから、コピー用紙を引き切りします。引っかかる箇所があれば、その区画だけ表裏を数往復研ぎ直します。⏱ 4 min
- 05砥石の面直しと片付け砥石の表面に鉛筆で格子線を引き、面直し砥石を円を描くようにこすりつけます。線が全部消えたら平らになった合図なので、水洗いして風通しのよい日陰で乾かしてからしまいます。⏱ 5 min